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スタンド・バイ・ミー 

 

 最近、親しい知人に紹介されて知った映画祭がある。

 それは、「午前10時の映画祭」名前の通り、毎朝10時から一日一回こっきり、一本だけの上映だ。

 

 今回の「午前10時の映画祭」は、1950~70年代当たりまでの古い名作をえらんで上映している。赤の50本と青の50本と区分けされているけど、どう違うのかは分からない。

 

 全国にある東宝系の映画館でやっているから、どこの人でも地元で見ることができる。

とにかく、東宝さんが考え出した、これは良い新しいアイデアだ。

 

 近くの映画館を探して、最近見たのが「スタンド・バイ・ミイ」。

 これはオリジナルの時期には、み損ねていたもので、歌だけは、そらでも歌えるくらい知っている曲が流れる映画だ。

 

 12歳の二人の男の子、これがやくざな親友同士。周りにさらに3人の友達、5人で森や林や沼や線路の鉄橋を渡ったりして2泊の旅をする物語だ。その映画の間、ずっとこの曲がかかっている。

 

 これは楽しい映画で、僕に「ハックルベリー・フィンの冒険」を思い出させてくれた。この中で、ハックルベリー・フィンと同じく、どんどん親友は親友になり、また、他の人とのかかわりあいで、どんどん成長していく。

 

 幼馴染の深まりを、実に鮮やかに描き出している。

 

 僕の幼馴染、そう、いつの間にか「ハックルベリー・フレンド」という言葉を作ってしまうくらい親しい幼馴染がいた。その後は、会ったこともない。でも忘れられない友達だ。

 

 偶然なのだけれど、彼と、僕の犬と、三人で、「スタンド・バイ・ミイ」と同じく、汽車をとめた事がある。そんな自分の小学生の頃の記憶へ、僕を飛翔させてくれた今度の映画でもある。

 

 僕の思い出はこうだ。

 

 ある日、僕たちは近くの線路の中に入って歩いていた。犬と一緒だった。どこか危険だっていう気持ちはあったのだと思うけど、遊びに夢中になって、いつかみんな線路を全速力で駆けていた。と、あるカーブを曲がった。と、僕たちに向かってすごいスピードで走ってくる蒸気機関車に出っくわしたのだ。

 

 逃げろっといって、右側の山の斜面に飛んだ。みんな飛んだ。真っ黒な塊のC11がポッポーと警笛を鳴らし、火花を飛ばしてギッギギーとブレーキをかけながら、目の前を走りすぎた。僕たちが土手に飛び込むのと、機関車がそこに走りこんできたのは、ほんの一瞬の差だった。

 

 僕たちは山の斜面で抱き合って震えていた。怖かった。列車は僕たちのいる場所をかなり通り過ぎて、やっと停まった。窓から大勢の人たちが身を乗り出して、僕たちのことを見ていた。

 

 ハッと気が付くと、最後尾の車掌室から車掌さんが飛び降りてきて、怒鳴りながら僕たちのほうに走ってきた。これっはマズイぞと僕たちは、全速力で列車と逆方向に走った。

 

 「スタンド・バイ・ミイ」では、汽車は止まってくれなくて、愚図の二人は鉄橋から落っこちて、難をのがれたのだが、鮮やかに昔、一緒に汽車をとめた幼馴染のことを思い出させてくれた。

 

 映画というメディアは、単にその映画を見せてくれるだけではなく、心の中の記憶をも呼び覚ましてくれる、すごい力があるのだと教えてくれた。

 

 もう一つ発見があった。

 みんなも知っている、”Darling, Darling…“というのは、僕は恋人に向かって、懇願している男の言葉としてイメージしていたが、それは間違いだった。

 

 本当は、幼馴染同士が、一緒にいれば怖くない、怖くないという意味だと大発見。

ジョンレノンもカバーしているこの曲は、どこかで、曲解されて、恋の歌になってしまったようだ。

 

 とにかく、久しぶりの映画、堪能しました。ご報告まで。

 

 ちなみに、これから見たい映画をピックアップすると、

 

 ・禁じられた遊び
 ・甘い生活 (後日、見た)
 ・シェーン
 ・シェルベールの日曜日
 ・山猫
 ・道   (後日、見た)
 ・鉄道員 (後日、見た)
 ・裏窓  (後日、見た)

 

こんな感じです。

 

(イタリア映画ではないけれど、懐かしいから、まぁいいか…)

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